2010年11月
「落ち葉も落ちて」
連日猛暑日と言われていた夏を越えると、ほどよい気温の秋。
水田や畑の作物は刈り取られ、草木は色を変え、すぐにも訪れる冬に備えている。さして意識しない毎年の習慣や風景の移り変わりで、なんとなく季節の変化を感じとる事が出来る。
それでも現金なもので、暖かな日々がすこしいつもよりも長く続いただけで、寒さへの対策を怠ってしまっていた。
「うーん、ここの所急に寒くなっちゃって、外に出るのも勇気がいるわねー」
暖かくした部屋の窓から木枯らしの吹く庭をみて呟くのは、日が昇ってすっかり明るくなった時間だというのに、未だ寝間着姿の麻莉亜。
普段は綺麗にとかし、お気に入りの髪留めでポニーテールにする長い髪も、自由奔放に絡まり合っている。
寒くなってくると布団から出るのが遅くなってしまい、二度寝三度寝……起きるのが遅くなると気分もだらけてしまい、折角の休日もなかなか出かけられないでいた。
「うー、寒い。暖かい紅茶でも淹れようかな……」
空の雲が流れ、日が陰ると家の中にいてもそれなりに寒くなってしまう。
窓越しに空を仰ぎながら、肩を震わせ、自らを抱くように身を固くすると、恨めしそうに流れゆく雲を見た。
「しばらくはお日様はお預けね……ぅぐ」
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