Last UpDate (10/02/01)
毎年この時期になると、魔帝マルスーン軍の一部の将軍達が賑わい出す。
正月も過ぎ、落ち着いてきた頃、その年一年を占う日が、ここにもあった。
彼らの暦で氷の月3日、地球歴では2月3日にあたる「節分」の日。
最初は魔帝マルスーンの戯れから始まった「節分」だったが、節分の儀式の1つ、「年の数だけ豆を食べる」を、「7億とちょっと」歳のシスカが失敗して以降、リベンジと称して毎年行われる様になっていた。
しかし、あまりに続く失敗に魔帝マルスーンが業を煮やし、誰にでも出来るであろう、簡易的な儀式を提示した。
「こんな儀式やめてしまえばいい」と言う将軍も多かったが、この「節分」を始めて以降、毎年の様にマルスーンが風邪をひく様になったり、神々の世界から刺客が送られてくる様になったりと、良くないことが起こる頻度が増えたためせめて何らかの儀式の成功をみるまでは退くに退けないと、続ける様になったのだ。
「いいですか? こうしてほおばったら、喋ってはいけませんよ」
妹たちに説明しながら恵方を向き、巻き寿司をほおばる姉、シスカ。
それを真似て妹たちも巻き寿司を口へ運ぶ。
んぐんぐんぐ……
3人並んで黙々と巻き寿司を食していく。
マルスーンに提示された儀式、それは「恵方巻き」だった。
毎年失態を繰り返してきたシスカを呼びつけ、「今年は恵方巻きを食すのだ!」とマントを翻し、
「大きな巻き寿司を「恵方」を向いて無言で食す。これだけの儀式、失敗は許されぬぞ!」
冷徹に目を光らせ、恵方巻きについて語る魔帝。
その瞳の奥底に秘められた、怒りの炎をシスカは全身で感じ取り、身を震わせた。
その恐ろしさを思いだし、念を押す様に妹たちへと説明を繰り返す。
「みんら、しゃべっはらめえふよ!」
妹たちが間違えない様に。
そして彼女は気がつかない。この重要なミスに。ここで自分が間違ってしまったことに。
妹たちは気がついているが注意は出来ない。「喋ったらダメ」だから。
「無言で]と説明しながら、そのために喋ってしまった姉妹(きょうだい)思いの長女、シスカ。
姉の説明通り、ただ黙々と儀式を済ます、自分が一番上手にやろうとした次女、レン。
喋ってしまった姉に教えたくて、でも言葉を出せず、姉を視てしまった姉思いの三女リリン。
魔帝の説明通りならば、しっかりと儀式を遂行したレンに幸運が訪れるはず……。
しかし、この儀式は失敗していた。
恵方巻きとは本来、恵方を向き目を閉じて、願いを込めて無言で食べるもの。
魔帝が気がつかない限り、誰も知るよしもないこの失敗。
魔帝軍の今年の行く末にはすでに、暗雲が立ちこめていた……。
<<関連絵>>
2008年2月「この一年……全ては私の手にかかっている!?」
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