2009年4月
「凛として」
南から、暖かな春を運ぶために風がやってくる。
寒い冬と早く入れ替わりたいのか、急ぎ足でやってきては木々を揺らす。
まるで祖父母をせかす子供のように慌ただしく無遠慮。
それでも毎年、待ちわびて腕を伸ばすのは、冬の厳しい寒さに耐えた木々草花にとって、待ちわびた愛おしい者をようやく迎えたような心地よさが在るのかもしれない。
慌ただしくても、腕を広げて可愛い孫を待つ祖父母の様に。

一通り暴れると、穏やかな陽気がやってくる。小鳥がさえずり、恋を歌う季節。
歌に乗せて、結ばれるのは動物たちだけではない。木々草花もまた、恋を始める。


大きな桜の木に、そっと一輪、淡いピンクの花が開いた。
それに気がつき、誰もが口元をゆるめて見た小さな一輪。

春の訪れを報せ、やがてこの無骨な体躯を覆うように、花火のように美しく咲くことだろう。
きっとまた、格別の美しさをもって、ここで人々を迎えるに違いない。


ふっと、歩みをとめ仰ぎ見た桜花。私も例に漏れず口元をゆるめた。
変わらず美しくありながらまた新たな美しさを見せ続ける凛としたその様を、やはり私も愛おしく感じるのだ。


(勇者屋キャラ辞典:)
2009/32009/5
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