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2010/04「次は貴方の町へ」

2010年4月「次は貴方の町へ」

とある権力者の広大な敷地の一角。

白砂利の敷き詰められた広場で、多くの男達が、1人の青年と2人の美女の前に跪き、頭を垂れている。

しかし、青年はこの土地を持つ権力者ではなく、ひれ伏す男達の先頭に居る者こそ、男達の主であった。

 

「君たち、もう悪いことはせずに、町の人たちを大切にするんだよ」

 

青年が目元も口元もゆるめながら一言述べると、男達は「ははっ」と、額が地面にこすれんばかりに更に頭を下げた。

いくつもの花で飾った冠をかぶり、女性もののワンピースを着た、見るからに変質者……もとい、この奇妙な外見の青年に対し、男達が頭を下げる光景は、とてつもなく異様といえる。

 

しかしこの青年こそ、最早この世界で知らぬ者はいない程の有名人(神)、「花の王」ルンルン、その人であった。

 

「花の王」ルンルンとは、人の世界、神々の世界ともにオンエアされているテレビドラマの主人公で、その破天荒な格好と、行動から絶大な人気を誇る。

人の世ではテレビの中の登場人物の1人とされているが、彼は花の神々の頂点、「花の王」として実在し、「幸せの花」と呼ばれる花を探し、世界を股にかけ旅を続けている。

その道中で、人々の、そして神々の不正・怠惰を正し、多くの世界を安寧に導いてきた。

 

2人の美女は菊華と柚子花、彼の護衛として付き従う花の神で、あまり自ら素性を明かしたがらない彼の代わりに「花の王」の紋章を掲げ、彼の威光を知らしめる役目などを担っている。

 

彼が自ら素性を明かしたがらないのは、目立つのを嫌っているとか、その格好の恥ずかしさを自覚しているからとか、色々な説が流れているが、その真実は本人にしか解らない。

 

どんな世界の悪党であろうとも、彼の威厳の前には観念し、その所行を悔い、改めるしかない(「花の王」公式設定)。

 

「貴方がルンルン様だったなんて! 有り難うございます!」

 

数人の貧しい格好をした人々が、ひれ伏す男達の後ろから現れ、深々と頭を下げた。

彼らが今回、ルンルンに助けられた人々であろう。番組を途中から見ても解る、親切な状況である。

 

「気にしないで。じゃあ、ボクはまだ、旅の途中だから」

 

そう言って、彼らを背に振り返ると、右手にその身の丈ほどもある花を取り出し空に掲げた。

花弁が回り出し、ルンルンの身体がゆっくりと浮き上がる。

 

「おじいさんやおばあさんを大切にね。ボクはどこからでも君たちを見守っているよ」

 

言い残すと空高く、飛び立ち、彼の姿はすぐに見えなくなった。

 

いつの間にか、二人の美女の姿もない。 彼が去った後には、ただ、さわやかな風と、人々の笑い合う未来が残されるのだった。

勇者屋キャラ辞典:「花の王」ルンルン、
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