2008年3月
「これ全部に……」

バレンタインデー。
……誰が持ち込んだのかは解らないが、人間達だけでなく、魔族の間にも広まった、女子が思いを寄せる相手にチョコレートを渡すという風習。

私も姫に渡すためにチョコを用意したことがあったが……

「凄いな、ゼータ! そんなに大きなチョコを貰ったのか、ゼータはモテるからな。
 ……あ、私がいては食べづらかろう、味わって食べてやれ^^」

にっこりと微笑む姫様。ああ、麗しゅう御座います><

「ああっ姫、違うのです、これは姫に……!!」

と、言えたのなら、どんな状況下においても、幸福に包まれ、憂鬱なイベントになることはなかったであろう。

毎年、私や私の部隊を懇意にして下さっている貴族の方々、ハーピー隊の部下達、果ては全国各地から、私の元に送られてくるチョコの山。こんなにどうやっても処理しきれるモノではない。

そして、やってくるホワイトデー。

人間達のイベントでは、チョコを貰った者が、好意を抱いている女子に飴を送るだけのモノなのだが……チョコの山を見上げ、

「これ全てに”お返し”をしなくてはいけないのか……」

ため息混じりに呟いた。
魔族に入り、何処をねじ曲げられたのか、ホワイトデーとは、

バレンタインデーにチョコを貰った者が全てのくれた相手にお返しをしなければならない


という、貰ったチョコが多ければ多いほど、大変な日となっていた。


(勇者屋キャラ辞典:「風の」ゼータ
2008/22008/4
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