Last UpDate (09/06/20)
天より刺す眩い白と、それを吸い込み、なおも透き通った蒼。
眼下に広がるは色とりどりに煌めく、美しい森。
そこは光の降る海の中。
水はどこまでも透き通り、周辺を見渡せるほどの澄んだ南国の海。
長い銀の髪が光を反射し、まるで自ら光を放つかのように淡く輝いて見える。
白い肌と髪と同じ色の瞳は幻想の住人を思わせた。
澄んだ海の中で空を舞うかの様に泳ぐ少女は妖精そのものにしか見えない。
魚と一緒になって泳ぎ、広i海に喜び、はしゃぐ少女、ルミア。
北のシベリア海で生まれ育った、人ならざる「魔」である彼女にとって、 南の海を泳ぐ事は同じ泳ぐのであっても、全く違う。生まれて初めての体験。
暖かな海水、泳ぐ魚、岩から伸びる珊瑚、その全てが初めて見るものであり、 冷たく、静かだった北の海には無いものだった。
夢中になって泳ぎ、一通りこの海を満喫していたが不意に海が薄暗くなった。
太陽に雲がかかったのかと思い、海面を見上げると、北の海と変わらないただ眩しい光が見えた。
過去、冷たい海の、仄暗い水底で過ごした日々が頭の端をよぎる。
少しの間、天を眺め惚けたルミアの手に暖かなものが触れた。
ビクッと、驚いたルミアだが、その温もりを離さない様に振り返る。
「おかーさん!」
満面の笑みを向けたそこには……ルミアの顔と同じ大きさぐらいの魚の腹。
ぎょっと目を丸くするが、魚はすぐに泳ぎ去り、そこにはいつもの笑顔があった。
いつも、どんな時もルミアに変わらない温もりをくれる母、マリエスタの笑顔。
今日はいつにもまして上機嫌なのは、私が水着を着たからかな? などと考えるルミア。
いつもは嫌がって服も着ないルミアは、サプライズで海に連れてきてくれた母に、生まれて初めて自分から水着を着るサプライズでお返しをした。
「人間になりたい」と言いながら、母の言うことはあまり聞いてこなかったかも知れない。
たった1つ言うことを聞いてあんなに喜んでくれるなら、少しだけ我慢して、お洋服も着てみようかな?
ちょっとだけ決意したルミアを、いつも通りの優しい微笑みで見つめるマリエスタだった。
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