2009年1月
「一年で一番」
「あらあら、ネコさん。お一人ですか?」

縁側から庭先で日向ぼっこしている猫を見つけ、そっと歩み寄る。
一年で最初の太陽の光を浴びて、長い髪は煌めき、透き通った肌が日色を写す。
澄んだ冬の空気は、普段よりも美しい色彩で庭を彩る。

日の光が余程心地よいのか、彼女がすぐ側まで近付いても猫は逃げずに毛繕いを始めた。

そっと、和服の袖が地に着くのも気にせず膝を折り腰を下ろす。

「私も一人なの。今日もあの人はどこかの空の下……」

空を仰ぎ、少しだけ顔を曇らす。
陽のまぶしさに目を細め、全身に光と暖かさを感じる。

視線を庭に戻し、我関せずを決め込んだ猫を見て、微笑んだ。
逢いたいけれど、逢いには行けない。けれど、こうしていられる時こそが、守られている……彼の想いと共にある時なのだと、フレイアは思う。
しかし、

「お仕事だから仕方のない事だけれど」

自由な振る舞いをする猫をみて、ちょっぴり寂しいため息をついてしまう。

「一年の最初の日ぐらいは一緒に居たいよ。マルス君」

一番最初の日に一番大切な人と一番会いたい。
そんな少女の心を持った神様の願いは、誰が叶えてくれるのやら。

猫がちょっぴり意地悪な笑みを浮かべたような気がした。


(勇者屋キャラ辞典:フレイア
2008/122009/2
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