2009年2月
「本命は……?」
(……な、なんで私がこんな事を……)

二つのチョコを手に、固まっていた。どう切り出して良いのか解らない。
マリジェリカの前には冒険を共にしてきた、信頼のおける仲間の一人。


今日はバレンタインデー。いつもなら殆ど気にとめない「乙女」のイベントの日。
「気にもとめない」のは、マリジェリカにとって、意識した特定の男性がいないため。
いつもならお世話になっている人々に義理チョコを贈って済ますイベントだった。

しかし今年は……

「マリジェリカ。お願い、これをあの人に渡してっ」

明らかに本命で在る事を隠した「ちょー義理」と書かれたチョコ。
そう言うと、サリサはさっとテレポーターに入り、消えてしまった。

「彼には感謝しているのだが、それを現す日がわたしにはない。故にこれを」

丁寧ないつもの調子で渡されたのは、店で売られている、可愛らしいリボンの付いたバレンタインデー用に包装されたチョコ。

「今日ならわたしに渡されるよりも、女性であるマリジェリカに渡されたほうが嬉しいはずだ」

もっともらしいことを言ってサリサと同様にして消えるオギ。

(さっき渓谷の店で何かを買っていたのはこれか……)

ため息混じりに二人に渡されたチョコを見る。

(しかし、これからドラゴンと戦うんじゃなかったか……? (−−; )

二人が消えて反応の無くなったテレポーターを見つめ頬を掻くマリジェリカ。

「まぁ、二人には悪いが、あいつのアイテムパックにでも入れておけば……」

言いながら、とりあえず二つのチョコを仕舞おうとする。

「お、マリジェリカ。すまないな遅れて……って、あちゃ〜二人に置いて行かれたか」

と、後ろから声がかかった。
今日、この日に見られてしまったチョコを、どうして目の前で仕舞えようか。
意識せずして頬が赤らむ。今まで気にもとめた事がないのに胸が高鳴る。

(こ、これが吊り橋効果というものかー!)

この状況で、マリジェリカは意味不明な事を心の中で叫ぶことしかできなかった。




(勇者屋キャラ辞典:マリジェリカ
公式:ファンタシースターゼロ
2009/12009/3
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