四方をコンクリートの壁で囲まれた軍施設。
武器庫や兵舎など、それぞれの収容のために造られた大きな建物がいくつか立ち並んでいる。
魔王軍領最北、魔王領と外を隔てる結界「レリヒオン・ル・ヴァント」に最も近い位置にあるこの基地は、「雷の」従騎士、ユニクロンが管理する基地であり、数々の機械兵器や機甲騎士の常駐する強固な砦である。

「魔」たるもの全ての殲滅を掲げる「白龍戦団」は、魔王領への侵攻の足がかりとして、この砦を奪取せんと、四天王の一人が率いる部隊「秘龍」を差し向けた。

白龍戦団「秘龍」……獣人族や妖精族など、多種多様な種族が集まる、異質な部隊。
それぞれが己の種族に誇りを持ち、他よりも優れているという概念を持っているため、日々争いが絶えない。それを統率するのが、四天王の一角「帝剣の」ノワ。
幼女……と言っても過言でないほどの小さな身の丈であるにもかかわらず、一度剣を手に取れば、部隊で敵う者が無いほどの実力を持っている。
部隊の者達もそれを身にしみて解っており、種族間の争いが如何に発展しようとも、彼女が仲裁に入ると途端におとなしくお互いが身を引く……ノワという「力」の下、統率を保っている部隊だ。

白龍戦団では地位も低く、一種捨て駒のようにも扱われる部隊だったが、ノワとその部下、ラヴィスタの懸命な働きにより、勇者の中でも特に能力が高いとされる六勇者の内二人、「漆黒の翼」旋璃亜と「救世王子」グレイが協力を受けいれ、部隊に所属している。

……

綿密な作戦を練り、今日、この時のために準備を進めてきた。
ラヴィスタとグレイによる入念な斥候が功をそうし、基地の内部まで入り込み潜む事に成功した、ノワを含む少数精鋭。

勇者達の先行により基地は騒然とし、自分達の存在に気づける者などそうはいない。
確信を待ちつつ、息を潜める。剣の柄に手をかけ、勇者達の合図を待ち続けた。

いつもの作戦では自分が先陣を切る。力の誇示と、士気高揚のために。
剣を握る手に汗が滲む。
こうして待つのは性分ではない。絶対の自信を持つ剣技で、いくつもの戦場を潜り抜けてきた。

如何に勇者達でも……ここは自分達にとって未知の空間。実力のはかれぬ相手……。

(いやっ、ノワロボをいとも容易く破壊した勇者達だ。間違いは無い……はずだ)

焦りが不信を呼ぶ。声を発しそうになり、何度もそれを飲み込む。
永遠にも思える一瞬一瞬。外の喧噪が静寂にすら思える緊張感……。
だがそれが振り払われる時は、予想以上に早くきた。

潜入からものの5分たらず。ノワの腰の無線機が声を発した。

「こちらグレイ。旋璃亜さんが今、司令部を両断しました! いつでもOKです!」

後ろからは銃撃の音、旋璃亜の怒号。

(りょ、両断……!? さ、流石旋璃亜殿、恐るべき戦闘力。……私達も応えなければな!)

深呼吸をし、緊張を覚悟に変える。手にした剣を思い切り頭上へと掲げ、叫んだ。

「白龍戦団「秘龍」! 突撃! 勇者殿達に後れをとるな!!」

彼女の言葉に、少数であるはずの隊員達が数百人とも思える雄叫びを上げ、突撃を開始した。

(勇者屋キャラ辞典:「帝剣の」ノワ)
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