ガーディアンズコロニーの一室にまばゆい光が現れた。
光は紅の髪を、幼さと反比例した肢体を、形作り実体化してゆく。


「ここが旋璃亜が今、潜伏している世界……か」

そこに立ったのは、「月光の紅姫」ゼミニア。いつもの服とは違う服が彼女のみを包んでゆく。
この世界に合わせた衣服に変化するようにユニクロンが仕込んでいたものだが、ゼミニア好みではない。

「まぁ、贅沢は言えない……な。」

新世界で右も左も解らない。趣味への拘りで下手な行動を起こせば、途端に怪しまれるだろう。
長期任務故に、それは得策とは言えない。

……ふむ。

現在の状況を確認するために部屋を見回す。そして、目に付いたのは赤い球。
気になり近付くと、突然しゃべりだし、名前を付けろと言う。

「これがサポートメカか、なるほど、ユニクロンの言うとおりだな。これにこの世界のことを聞けばいい訳だな……」

月光の紅姫は任務達成のために、動き始めた。


……

サポートメカ、パートナーマシナリーは、「チュートリアルをプレイ」を選択すると、担当ガーディアンズを呼び出した。まだ来たばかりの世界で、そこの住民と会うのに身構えたが、やってきた人物は、黄色い鳥の着ぐるみに身を包んだ人をからかっているか、何かを捨てた様な、おかしな格好をした少女。
その姿に、ゼミニアが戸惑う間もなく、開口一番に、

「お主が、新たにこの世界に現れた異界渡りという訳か。わらわはティアマット! この世界のことで解らぬ事があれば、わらわにきくがよい!」

そう言いだした。拍子抜けだったが、これはありがたいことだ。
ありがたい事……だが黄色い鳥の着ぐるみを着た人間に言われると変な気分だ。

気を取り直し、互いの簡単な自己紹介、講義を終え、ティアマットに話を聞くと、なんでも、異界から来る者が現れた時、異変がおこる。それを察知し、あらわれた者を見つけ出し、有害ならば追い返し、無害とならばそのフォローしているそうだ。

……では旋璃亜の事を知っているかもしれない。

彼女が聞こうとしたその時だった。ティアマットが不審な動きを取り出しのは。

「なぁ、お主……この世界の服を自分で選んで着てみんか……?」

負のオーラを纏い、黙ってゼミニアにメセタと呼ばれる、この世界の通過を渡し、ショップを指さす。
ただならぬ雰囲気。

……なれない世界だ、ここは従っておいた方が良いな……。

そして数分後。ゼミニアがショップから出てきた。

「む、むう、なんだかスカートが短いモノばかりではずかしいな(/// 」

周りの目を気にし、恥ずかしげにするゼミニア。
この衣服は彼女なりに全力で選んだ衣装。だが、スカートは丈が短く妙に気恥ずかしい。
しかし、その服をみてティアマットは、


「……まともなのを選びおってー!!!」


叫んで走り去ってしまった。

……グラールでの旋璃亜探索はまだまだ続きそうだな。

ゼミニアは、スペースポートに走るティアマットの寂しい後ろ姿に想像される、この先の苦労にため息を付いた。
(勇者屋キャラ辞典:「完全なる」ゼミニア
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