漆黒のドレスに身を包み、城下を見下ろす少女。
12歳にして、悪名高きフレイア教団所属の義兵光剣団を、たった一人で全滅させたと、魔族の人々の間で噂される「魔王の姫」、旋璃亜・ヴィエルジュ・ファルバルディン。
彼女は、その畏怖すべき力と、あどけない容姿から、「漆黒の麗姫」と呼ばれている。

その日、14歳を迎えた少女は、母への想いと、父への想いに悩んでいた。

「人間と魔族は協調しあって、仲良く暮らせるの。お互いを愛し合うことができれば、平和な世界になるのよ」

お気に入りのテレビアニメ「ヨミ一世」を見終えた後、何度も母に言われた言葉。
一方的に悪として描かれた人間達。絶対的な正義として描かれた魔王。
それは間違いだと、母は旋璃亜に言い続けた。
実際、母は人間出身だったし、とても優しかったので、旋璃亜はそれを信じていた。
母が急死した後も、魔族は人間と仲良くできると信じ込んでいた。二年前の悲劇までは。


旋璃亜が12の誕生日を迎え、村総出で祝ったその深夜。突如、村は襲撃を受けた。

白銀の鎧に身を包んだ兵士達が屋敷の扉を破り、枯れ木を燃やす木の如き早さでなだれ込んできた。
彼らによって、一方的に惨殺される屋敷のメイド達。
武器を持つことも許されないまま殺されてゆく、側近の兵士達。
年に一度の誕生祭に集まった村人達も容赦なく虐殺された。


そして、旋璃亜は人間を忌み嫌い、母の言葉が嘘だったと思うようになった。しかし――

「旋璃亜姫の母君が謎の急死をとげたのを知ってるだろ? アレ、じつは魔王様が「生の」クスィーさまに殺害を命じたらしいぜ?」

城の兵士達が話しているのを、偶然、立ち聞きしてしまった。

他愛のないうわさ話だったはずなのに、旋璃亜の耳から離れない。
二年前の惨劇も、もしかしたら……?
旋璃亜の心を疑念が支配する。このままではこの城にはいられない。
父を信じないわけではない。今更母の言葉の方が正しかったと、思い直す訳でもない。

そうして、旋璃亜は決心した。
城を離れ、旅に出て、真実を確かめようと。

平和な城下をもう一度見やり、少女は、強く誓った。この疑念が晴れた時、父のために、魔族のために、この身を捧げ、人間達に勝利しよう。と



(勇者屋キャラ辞典:「漆黒の麗姫」旋璃亜
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